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リウマチ


リウマチ

リウマチ・膠原病内科の専門医が診察

特任教授/内科医師

嶋 良仁

 しま よしひと

所属 大阪大学大学院医学系研究科
学位 医学博士(大阪大学)
日本リウマチ学会専門医

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リウマチは、正しくは関節リウマチと呼ばれ、原因不明の持続性の関節炎です。通常は男性より女性の方が3〜4倍かかりやすく、日本人の300人に1人がかかっているといわれています。
当クリニックでは日本リウマチ学会専門医が診察しております。どんなことでもお気軽にご相談ください。また、リウマチではない関節痛の場合は整形外科の専門医も在籍しておりますので、連携を取りながら治療を行ってまいります。

関節リウマチとは

関節リウマチは全身の関節に炎症が起こる疾患です。患者数が国内に560万人(日本リウマチ財団)と非常に多くポピュラーで有名なため、手足が痛いという症状と同義で使われているケースもあるようです。関節リウマチの特徴には以下のようなものがあります。


⒈ 原則として多関節が侵されます。1箇所が痛んだらすぐ消えて、また隣の関節が痛みだしてという風にどんどん移動していく関節痛を示すことは基本的にありません。

⒉ 炎症がおこる疾患です。血液検査をして、何らかの項目で(血沈やCRP値、血清補体値、アミロイドA濃度などの検査があります)炎症反応が全く出ない関節リウマチは原則的にはありません。

⒊ 骨だけの病気ではありません。眼や肺や腎臓にも病状が出ることがあります。

⒋ 高齢者の病気ではありません。なんとなくお歳をめした方があちこち痛むイメージをお持ちの方もおられるかもしれませんが、年齢とともに増えてくる病気ではありません。発症者が多いのは30歳台から50歳台といわれています。

⒌ 俗にいうリウマチ因子(リウマトイドファクター)が陽性の方が関節リウマチというわけではありません。リウマチ因子は健康な方でも出ます(年齢とともに陽性率が上がります)。肝臓の病気の方はリウマチ因子が陽性になることがよくあります。逆に、リウマチ因子が陰性の関節リウマチの方もおられます。


関節リウマチの治療には抗リウマチ薬という薬物を用います。中でもリウマトレックス®、メトレート®などメソトレキセートという成分を含んだ飲み薬を1週間に1ないしは2日服用するのが世界的な標準になっています。海外では毎週20mgほど服薬することもあるようですが、日本では週16mgまでしか使用が認められていません。リウマトレックスの副作用は肝障害や肺障害、白血球減少などがありますが、意外と多いものが「倦怠感」です。服用すると次の日がダルイと感じられる方がしばしばおられます。毎日服用する薬ではないので、翌日はゆっくり休める日を選ぶなど工夫をされるとよいと思います。

メトトレキサートの皮下注射について

抗リウマチ剤「メトジェクト®皮下注7.5㎎シリンジ0.15ml、同10㎎シリンジ0.20ml、同12.5㎎シリンジ0.25ml、同15㎎シリンジ0.30ml」(一般名:メトトレキサート、以下MTX)が2022年9月に承認されました。本剤は、関節リウマチにおける第一選択薬であるMTXの国内初の自己投与可能な皮下注製剤です。皮下注射では経口内服薬で多くみられる吐き気などの副作用が少ないことが特徴です。当クリニックではこちらの皮下注射でも治療可能です。


メトジェクト®皮下注7.5㎎シリンジ0.15㎖


メトジェクト®皮下注10㎎シリンジ0.20㎖


メトジェクト®皮下注12.5㎎シリンジ0.25㎖


メトジェクト®皮下注15㎎シリンジ0.30㎖

生物製剤について


リウマトレックスは関節リウマチの勢いを抑える有用なお薬です。しかし、残念ながら関節破壊を完全に抑制できないことも判明しています。そこで最近登場してきたのが「生物学的製剤」と呼ばれる注射薬です。2017年現在、レミケード®、エンブレル®、アクテムラ®、ヒュミラ®、オレンシア®、シンポニー®、シムジア®が関節リウマチに対して認可されています。この中でアクテムラ®とオレンシア®は点滴製剤と皮下注射製剤の両方があり、レミケード®は点滴製剤、ヒュミラ®とシンポニー®、シムジア®、エンブレル®は皮下注射製剤です。またレミケード®の類似成分を用いたインフリキシマブBSという点滴製剤もあるので、関節リウマチに認可された生物学的製剤は合計8製剤10剤型あります。いずれも関節破壊抑制効果が優秀であるとされています。

レミケードは関節炎に対して即効性があります。アクテムラは徐々に効いてくるタイプです。ヒュミラ、エンブレルはその中間でしょうか。

生物学的製剤は関節リウマチに対して大変有用なお薬ですが、注意点があります。どの生物学的製剤も免疫力が低下する恐れがあります。感染症に留意する必要があります。

高価である点も無視できないところです。薬の価格が抗リウマチ薬に比べて高いこともあり、経済的な負担が大きくなる場合があります。費用は薬剤ごと、あるいは同じ薬剤でも投与量によって異なりますが、バイオシミラー(後発バイオ医薬品)を使用すると先発品の6割の薬剤費となります。また、医療費の助成や福祉制度によって、治療にかかる負担が軽減される可能性があります。お住いの自治体や加入されている医療保険などによって利用できる制度は異なりますが、安心して治療を受けるために、必要な場合には医療費の助成や福祉制度の利用を検討してみましょう。

この費用については次のように考えることもできます。リウマトレックスだけでは関節破壊が止まらないことがしばしばあります。関節破壊が進行しますと人工関節など手術が必要になることがあります。手術に要する費用と入院中仕事ができない経済的損失は馬鹿になりません。リウマトレックスの効果が不十分な場合、できるだけ早くに生物学的製剤を始めていただければ将来の手術が回避できるかもしれません。レミケードの場合、早期に開始すると止められる可能性もあります。

レミケードの他にもリウマチに有効な新薬がたくさん開発され、実用化されています。

エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ、オレンシア、シンポニー、シムジアがあり、当クリニックではこのような生物学的製剤の使用を専門的に取り扱っています。

 

出典
1)van der Bijlら。Infliximab and methotrexate as induction therapy in patients with early rheumatoid arthritis. Arthritis Rheumatism誌2007年56巻


膠原病について


膠原病とは、本来自分自身を外敵から守るために備わっている免疫システムが、誤って自分自身の臓器(細胞)を攻撃してしまう病気です。女性に多く見られる病気で、原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状がみられます。 また、膠原病というのはひとつの疾患をさす言葉ではありません。全身性自己免疫疾患である全身性エリテマトーデスや強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群など、自己免疫により多臓器に障害が起こる疾患をまとめて膠原病と呼びます。

膠原病は原因がよくわかっておらず、様々な臓器に障害が起こるため、以前は生命に関わる難病とされてきましたが、ステロイドを用いる治療法が一般化し、治療成績は大きく改善しました。近年では免疫抑制剤の開発が進み、これらを併用することでステロイドの副作用を最小限にしつつ病気の勢いを抑え、再発を防ぐ治療を目指しています。

 

治療について

当クリニックでは副作用の出現に注意しながら治療薬の最大限の効果を発揮させるように努めています。また万が一、副作用が発生しても速やかに対応できる体制をとっていますので、安心して治療ができます。

ステロイド薬

重症度により使用量が異なります。治療開始時の量を2~4週続け、病状が良くなれば再発しないよう徐々に減量し、1日に5~10mg内服を継続することが多いです。重症度の高い方では点滴で大量に投与するステロイドパルス療法を行います。高い効果が早く現れます。3日間行い、内服のステロイドに切り替えます。ステロイド薬は副作用が多く、予防のための薬も大切です(感染症、骨粗鬆症など)。

免疫抑制剤

ステロイド薬治療で効果不十分な場合や、副作用などでステロイド薬を減量したい場合にステロイド薬に併用して使用します。最近はより早期から使用する傾向にあります。エンドキサンR、イムランR、ネオーラルR、プログラフR、メトトレキサートがあります。最近セルセプトR、プラケニルRなども使えるようになりました。いずれも皮膚症状や関節症状などの全身症状の改善や副腎皮質ステロイドの減量効果が認められています。

生物学的製剤

この薬剤は病気を引き起こすカギとなる標的にピンポイントで効くため分子標的薬と呼ばれています。標的を外さない薬なのでよく効くだけでなく副作用の種類を大幅に減らすことができるようになりました。基本的に注射薬であり、皮下注射と点滴があります。リウマチ膠原病領域では、関節リウマチに対して最も使用されていますが、全身性エリテマトーデスやベーチェット病、高安動脈炎、ANCA関連血管炎などの膠原病のほか、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎など様々な疾患に対して使用されています。 全身性エリテマトーデスに対して2017年にベリムマブ(ベンリスタ)、2021年にアニフロルマブ(サフネロー)が承認されており、当クリニックでも治療可能です。



全身性強皮症


ここで、「全身性強皮症」について解説します。「膠原病」や「自己免疫疾患」と呼ばれる一群の病気の一つとされています。まず指の血行が悪くなります。冷蔵庫に手を入れる等のちょっとした寒さ刺激で指に血が通わなくなるレイノー現象という症状が現れます。その後手や腕、顔面などが硬くなって動かしにくくなり、手だけではなく気が付くと内臓も硬くなっているという病気です。食道が硬くなると飲み込みにくくなり、肺が硬くなると呼吸が困難になります。厚生労働省の指定難病に含まれています。

全身性強皮症には2つのタイプがあります。ひとつは「びまん皮膚硬化型」全身性強皮症。もう一つは「限局皮膚硬化型」全身性強皮症です。この違いは硬くなる皮膚の広がりで分けています。限局皮膚硬化型は手(指と手)の皮膚だけが硬くなるので「限局皮膚硬化」型と呼んでいます。一方、びまん皮膚硬化型は腕全部や顔や胸の皮膚も硬くなることがあるので「びまん(=全部を表す用語)皮膚硬化」型と呼んでいます。限局皮膚硬化型が軽症型ということではなく、皮膚の障害の広がりが違うだけで、どちらも「全身性強皮症」であることには変わりありません。実は「限局性強皮症」と呼んでいる病気があります。この限局性強皮症という病気は「限局皮膚硬化型」全身性強皮症と名前が似ていますが、両者は別の病気です。限局性強皮症は皮膚の一部が固まってしまう病気で内臓は障害されません。限局性強皮症は2023年現在指定難病に含まれていないのですが、限局皮膚硬化型の全身性強皮症は指定難病の対象疾患です。医療者側でもこの辺りが混同しているケースを散見します。(全身性強皮症の難病認定に必要な特定疾患調査個人票には「限局性強皮症ではない」ことを明記する欄があります。)

レイノー現象について

寒さ刺激や精神的緊張などがきっかけで強い末梢血行障害が起こり、皮膚の色が変わる現象です。血行障害部位の境界が比較的くっきりとでます。変色は白、紫、赤の順にかわります。耳や鼻、口や舌に出現することもありますが、最も出やすいのは指になります。

治療について

全身性強皮症は残念ながら原因は特定されていません。これまで有効な治療手段もない文字通り難病になっていましたが、最近はようやくこの難病にも生物学的製剤や分子標的薬を用いた治療が始まっています。

リツキサン

リツキシマブという成分が含まれています。日本では難治性の腎炎や同じく膠原病である全身性エリテマトーデス(SLE)で使用されることがあります。体内のBリンパ球という細胞を成長できなくする薬剤です。体で炎症が起こるにはBリンパ球が必要ですので、これが成長できないようにすれば体内のいろんなところの炎症が起こらなくなる、という仕組みです。一方、Bリンパ球は感染症に対抗する有力な武器の一つです。これが成長しなくなると、免疫力が弱ってしまうデメリットもあります。免疫力が落ちると帯状疱疹になりやすくなるので、帯状疱疹ワクチン接種をお薦めしています。

オフェブ

ニンテダニブという成分が入っています。全身性強皮症に起こる肺の硬化に有効と言われています。全身性強皮症ではいろんな内蔵が硬くなるのですが、中でも肺が硬くなるのが問題です。海外のデータでは全身性強皮症の患者の3割の人は肺の障害が原因でお亡くなりになっているというデータもあり(※)、肺を硬くさせないことは非常に重要です。オフェブは内服できる薬剤で、肺の硬化を抑制する効果が発表されています。副作用に下痢があります。
※Tyndall AJ.et al.: Ann Rheum Dis 2010; 69(10): 1809-1815.

 

手のこわばり

このような症状はありませんか?

  • 起床時、手がこわばる
  • 指が動かしにくい
  • 指が動かしにくいが、動かしているうちに楽になる
  • 長時間椅子に座った後、関節が動かしにくくなることがある

 

    • 睡眠中は身体や関節をほとんど動かしていないため、起床時に手にこわばりを感じることがあります。軽く体操したり、関節を伸ばしたりして解消されるようでしたら、心配はありませんが、こわばりが30分以上以上続き、それが6週間以上続くようなら、関節リウマチの可能性があります。

当クリニックには現在7名の
リウマチケア看護師が在籍しています


リウマチケア看護師は、日本リウマチ財団認定の看護師で、在宅自己注射導入指導を中心に、患者さんご自身が病気や治療について理解し、治療が継続できるよう支援しています。

関節リウマチだけでなく膠原病疾患の患者さんも対象に身近な相談相手として患者さん一人一人の声に耳を傾け、抱えている問題を解決できるよう、一緒に考えてまいります。医師、薬剤師など多職種と連携を取り、「チーム医療」を行っています。病気や治療、生活のことなどお困りの際は、何でもご相談ください。

リウマチ膠原病専門の医療機関として質の高いケアを行っていきます。

リウマチケア看護師とは

リウマチケア看護師は、2010年にリウマチ性疾患のケアに関する優れた看護師の育成を目的に、日本リウマチ財団によって作られた資格で、取得によりリウマチケアに優れた看護師であると公的に認定されます。
しかしこの資格は、指導患者名簿10例やリウマチ性疾患ケア指導記録の作成・提出、教育研修会での20単位以上取得等、取得までのプロセスが非常に困難な資格なのです。