炎症性腸疾患
欧米並みとはどれくらいかと言うと、例えばアメリカでは総人口約3億人に対し、潰瘍性大腸炎とクローン病を合わせて約150万人と言われています。
どちらも若い時から発症し治療に難渋する事が多く、未だ原因がよくわからない病気のため、国の難病(特定疾患)に指定されています。
クローン病
クローン病は、口から肛門まで消化管、すなわち食べ物の通る道のどこにでも慢性の炎症を起こす病気ですが、多くは小腸や大腸に起こります。
消化管の壁の内側から外側まで全層性に炎症を起こし、深い潰瘍を作り、狭窄や瘻孔(消化管と消化管、消化管と腹壁や肛門のまわりの皮ふなどに出来てしまったトンネルのようなもので、肛門のまわりに出来ると痔瘻と呼びます)などが起こります。
主な症状は腹痛・下痢・発熱・肛門病変(痔瘻や肛門のまわりに膿が溜まったりします)などです。肛門病変をきっかけに診断されることもしばしばあります。
日本ではクローン病とわかると食事をやめて栄養剤を飲むように指導されている患者さんが多く見られますが、これほど厳しい食事制限をしている国は世界中どこへ行ってもありません。欧米ではその代わりしっかりとお薬で治療をしています。
従来は潰瘍性大腸炎に用いられる5‐ASA、ステロイド、免疫調節薬などの薬で治療されていましたが、さらに強力でステロイドより副作用の少ないレミケードという薬が開発され、アメリカでは1998年から、日本でも2002年から使われています。
TNF‐アルファという炎症を起こす悪玉物質をピンポイントでブロックする薬で、点滴で投与します。当クリニックではクローン病の患者さんにも、学校やお仕事を休まずに治療を受けて頂けるよう、外来で点滴を受けて頂いています。
さらにヒュミラという皮下注射製剤も承認され、家に持ち帰って自分で注射することも出来ます。
2017年にはステラーラという全く新しい薬も使えるようになりました。
これらの薬は非常に高い効果が得られる薬ですが、それでも時には狭くなった腸を拡げたり、あるいは切除したり、お尻に溜まった膿を外へ出す外科手術が必要な場合も起こりえます。そんな場合にもすぐに対応できるよう、外科・肛門科専門医との連携を確立しています。また夜間や緊急の場合は錦秀会阪和記念病院消化器センターで対応が可能です。
診断も治療も難しい病気で、特に新しい治療法を行うには豊富な経験と知識が必要です。下痢が続く、便に血が混じる、腹痛や発熱が続く、痔瘻ができた、といった方はぜひお気軽にご相談下さい。
さらに当クリニックでは新薬の開発実験にも積極的に取り組んでいます。
診断や治療に難渋されている先生方からのご紹介も喜んでお受けいたします。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に慢性の炎症を起こす病気です。主な症状は下痢・血便や粘血便(粘液と血液が混じった便)・腹痛などで、多くの場合緩解と再燃を繰り返します。治療には5‐アミノサリチル酸製剤(5‐ASA)、ステロイド、免疫調節薬などの薬が用いられますが、最近では簡単な装置で悪い白血球だけを血液の中から除去する血球成分除去療法という治療法が日本で開発されました。
さらにクローン病治療に用いられるレミケードがこの病気の治療にも有効とわかり、2010年6月から日本でも使えるようになりました。 当院では内服治療はもちろん、血球成分除去治療やレミケード治療もすべて外来で行なっています。
レミケードの他にもヒュミラ、シンポニーと行った薬が使えるようになりました。
ただ、重症化・劇症化した時には外科手術が必要なこともあります。
検査について
炎症性腸疾患(IBD)が疑われる場合は、主に血液検査、内視鏡検査、便検査(便中カルプロテクチン検査)などが実施されます。
IBDと診断され、治療を開始した後も、継続的に活動性(炎症の程度や範囲)を客観的に検査する必要があり、その方法としては、内視鏡検査が最もスタンダードな検査となります。内視鏡検査は診断時には必要ですが、体内に器具を挿入することから侵襲性が高く、患者様にとってある程度苦痛を伴う検査です。
一方、腹部超音波検査(腹部エコー検査)は体内に器具を挿入する必要のない非侵襲的な検査であり、腸管の壁の厚さや層の厚さ、血流などの評価をするのに役立ち、活動性(炎症の程度や範囲)を観察する
セカンドオピニオンについて
セカンドオピニオンの料金は1回30,000円(税別)となっております。
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